コメント
「初期の版画は<記憶・時間・場の形式>を自らの視点で語ろうとするものであった。自意識が目覚める年頃に人々の精神的な崩壊と安易な変節をみた私たちは、どのような価値観に立つかを根源的に問い続ける世代なのかもしれない。
その頃に出合ったのがホルヘ・ルイス・ボルヘスの文学であった。共感が完全であることに驚いてそれ以後はこの文学者の詞を外部とコミュニケイトする唯一の扉にさせて頂いている。ボルヘスとの心理的なコラボレーションをおこがましくも表に出してからは、あまり説明を求められなくて楽になった。
その修飾も色気もない短文は私に自由を許し、客観性の花を添えてくれるより大きな視点である。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑1999』阿部出版より)
略歴
- 1934年
- 東京に生まれる
- 1963年
- (東京女子大卒業後)東京芸術大学油画専攻卒業
- 1963年~
- 油画発表、毎日現代展
- 1972年~
- 版画(リトグラフ)を発表
- 1977年~
- 国際版画コンクール(リュブリアナ・クラコウ・ブダペスト・マースリヒト・カンピナス・エジプト・中国)出品
- 1987年
- 現代のイコン(埼玉県立近代美術館)
- 1989年
- ボルヘス追悼個展(ストライプハウス美術館)
- 1992年
- 本の宇宙(栃木県立美術館)
- 1993年
- 個展(ストライプハウス美術館)
- 1994年
- 個展(ブエノスアイレス国立版画美術館)
- 1997年
- 個展(Walsh Gallery・シカゴ)
- 1998年
- 現代日本の美術展(クラコウ国立美術館)
- 1999年
- 日本の現代版画・北斎の孫達展(スウェーデン)
- 2000年
- モンデアル国際版画トリエンナーレ展(スウェーデン)・招待
- 2001年
- 個展(ニューヨーク)、第46回CWAJ現代版画展(東京アメリカンクラブ・神谷町)
作品紹介
《溶解する視点-断章》
1995年 91×188.5cm
リトグラフ
《記憶する薔薇Ⅳ-探索の旅》
2007年 71.3×100cm
リトグラフ
《記憶する薔薇Ⅸ-遠い記録》
2009年 88.5×73cm
リトグラフ