コメント
「1997年晩秋からカナダ・エドモントンに1年間滞在し、版画集『Penumbrae』を制作した。版画集では、普遍的な北方の自然・風景を主題にしつつ、単に描写などでは表わせない、北方の事実、その場に生きる、沈黙の精神性を表現したく思った。それは私の生まれた<所在>を強く意識することになった。
その場の根底にある形態を求めるために滞在し、<時を知覚>するための自らのインスタレーションを基に、自己の中で培ってきた視線と差異で捉えた問題を提起できればと思った。それは、その後の不在がもたらす、輪郭を表わすもので、やがて荒蕪の地に帰すためにも、私自身の耕地である銅版に生きる意識の鍬を入れ続けたいと思うのです。」(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑1999』阿部出版より)
略歴
- 1947年
- 北海道根室市に生まれる
- 1969年
- 武蔵野美術大学実技専修科研究課程修了
- 1979年
- 第15回現代日本美術展・京都国立近代美術館賞
- 1981年
- 文化庁派遣芸術家在外研修員としてロンドン滞在
- 1989年
- 第3回和歌山版画ビエンナーレ・優秀賞
- 1990年
- 第7回ソウル国際版画ビエンナーレ・大賞
- 1991年
- 第20回現代日本美術展・美術文化振興協会賞、いわき市立美術館賞
- 1992年
- 10人の銅版画家展(神奈川県立近代美術館)
- 1993年
- 第1回エジプト国際版画トリエンナーレ・審査員賞
- 1994年
- 大阪トリエンナーレ‐1994‐版画・銅賞
- 1995年
- 戦後文化の軌跡1945‐1995(目黒区美術館他)
- 1997年
- 武蔵野美術大学在外研究員としてエドモントンに滞在
- 2001年
- 『RYOJI IKEDA 1975‐2000 池田良二銅版画集』小社刊行
- 2003年
- タカシマ美術賞受賞
- 2005年
- 山口源大賞受賞
- 2009年
- 紫綬褒章受章
作品紹介
《Light come ashors(上陸した光)》
1996年 57×85cm
エッチング