コメント
人物や人体を描く事は油画の時代から木版画に至るまで続いています。「人間の存在感」というようなものについてずっと考えていました。人体のフォルムは主題に沿って決まりますが、その周囲は彫り進める中で決まっていきました。
杉板を横につないで3メートルほどになる大型版画は、これを摺れる大判の和紙を漉いてもらって可能になりました。(中略)人体は樹木や植物と一体化し、境界をなくして混沌としています。「人間」というテーマに行き詰まったというわけではありませんが、かたちが固定してくると少し解体したくなってきます。
(作家コメント 版画芸術172号より)
略歴
- 1941年
- 神奈川県に生まれる
- 1966年
- 東京芸術大学油画科卒業、71年に大学院版画専攻に入学
- 1973年
- 東京芸術大学大学院版画専攻修了
- 1979年
- 第47回日本版画協会展・版画協会賞
- 1983年
- 『磯見輝夫全版画 1971-1983』(叢文社)刊行
- 1989年
- リュブリアナ国際版画ビエンナーレ(ユーゴスラビア)
- 1990年
- 「現代日本の版画1990」(渋谷区立松涛美術館)
- 2003年
- 山口源大賞受賞
- 2005年
- 「現代版画の潮流展」(町田市立国際版画美術館)
- 2007年
- 愛知県立芸術大学学長就任(2013年まで)
- 2008年
- 平成19年度名古屋市芸術賞・特賞
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- 「-Black and White- 磯見輝夫 小作青史」
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- (東京オペラシティアートギャラリー)
- 2016年
- 「嶋田しづ・磯見輝夫展 色彩とモノクローム」(横須賀美術館)
作品紹介
《混沌の門》
1986年 169×236cm
木版
《砂のかたち その人は此処を通りましたか》
2006年 160×240cm
木版