コメント
「退屈な長い会議が始まると、私は決まって心の中のエスキース帳に、気持ちが向くままイメージを描くことにしている。
床に立つ椅子の脚は光を受けて実に美しい影を床板に落としている。壁には不可思議な斑紋を付けた球体が幻影となって現れては消えていく。椅子の上に人はなく、紫や青い光がゆっくりとシュールな線を描いている。
何気ない室内の一隅からわき上がってくる幻影は、楽しい空間を提示してくれている。
版による表現技法ほど<もの>の質感を醸しだしてくれる手段はないのではないかと思う。画面への願いに幾ばくかの<もの>のもつ様相の変化を閉じ込めたいと願っている昨今です。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2001』阿部出版より)
略歴
関連書籍