コメント
「長く版画を作っているうちに、<月>をテーマに扱った作品が多くなってしまった。昔から多くの民族が、様々な事物の象徴として月を文化の中に残しているが、宇宙船で飛んで行って月面に人が下り立つ今になっても、地球の上で見上げる月には何か神秘の力がまだ残っているように思えてならない。満月の夜にはとにかく色々な事が起こるようだ。出産率が高くなり、交通事故が多発する。牡蠣や珊瑚の産卵は有名だ。私は月明かりのなか、自転車に乗ってアトリエまで行くのが好きだ。毎日変わっていく月の形と共に自分の気持ちや形まで変わってゆくようで、中天高く輝く満月の夜は、空が飛べるような特別の力が備わってくれぬかと夢想したりもする。」
(作家コメント「私と月のかたち」『版画年鑑2000』阿部出版より)
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