コメント
「1枚の絵を描くプロセスの中で、数多くのイメージは定着することなく、その上から新たな絵具によって埋葬されてしまう。私は、作品の表面に表れ出ない地層、もしくはレイヤーのように塗り込められたイメージの堆積に興味がある。版画という視点から見れば、それは多色刷りにおける1枚1枚の版そのものでもある。
これまでの作品は、垂直方向のシステムで絵を展開してきたが、いま手掛けている<核としての絵画>のシリーズでは、むしろ水平のベクトルで試みようとしている。絵を分解することで、上下と左右を取り払い、重力の無い絵を目指している。絵画と版画を行き来し、またフィードバックさせることにより、版の思考は自分の絵づくりに大きく影響を及ぼしている。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2001』阿部出版より)
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