コメント
「木版に向かうことができるときに、その気分のうちに現出するものを描く、これを基本にしています。もちろん画想は、何処においても浮かぶには浮かびますが、いざ画を刻む段になると計画通りにはなかなかなりません。群々と湧き上がる瞬時の気分が、他を押しのけるようにして自儘するので、つい手はその気分のうちに板を彫ることになるのです。練りに練った画想があろうはずもなく、よってぼくの絵は、気分のうちに気分を描く気分の絵、と称した方が納まりが良いと考えます。 <自からのかたち>というようなものも、特に意識を強く持った覚えはありません。実際、描きたい気分がいっぱいあって、ひとつでも多くそれを取りたくてたまらないのですが、その営みの結果、あるかたちが成るようにして成るのでしたら、それは<かたち>と呼んでも良いのではないでしょうか。かたちは探してつくるものではなく、単に結果的にかたちづくられるものでありましょう。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑1999』阿部出版より)
略歴
- 1953年
- 沖縄県伊是名島に生まれる
- 1983年
- 宜野湾市民会館レリーフ「がじゅまる」制作
- 1987年
- この頃より独学で木版画を手掛ける
- 1990年
- 第1回個展「島(ここ)が一番おもしろい」、以後全国各地で個展開催
- 1996年
- 読谷村憲法条文モニュメント「萌芽」制作、個展(プティ・ミュゼ美術館・東京)
- 1997年
- 郵政省「地球温暖化防止京都会議」記念切手及び、環境庁Less CO2キャンペーンポスターに木版画採用
- 1998年
- 個展「地球環境と美の祭典」(伊勢丹美術館、99年太宰府天満宮宝物殿)
- 1999年
- 郵政省「沖縄郵政創業125周年」記念ふるさと切手原画制作
- 2000年
- 個展「名嘉睦稔の世界」(明治神宮文化館・東京)、「The World of Bokunen Naka」(Avram Gallery・ニューヨーク)、外務省「九州・沖縄サミット」広報用絵葉書原画制作
- 2001年
- 日本文化デザイン賞受賞
- 2004年
- 個展(タオル美術館ASAKURA・愛媛、浦添市美術館・沖縄)
- 2007年
- 文化庁文化交流使に任命。
- 2008年
- 個展(明治神宮文化館・東京、思文閣美術館・京都)
- 2010年
- Bokunen Art Museum 開館
作品紹介
《三様》
1998年 50×46cm
木版、裏手彩
《一本道の福木》
1997年 48×47cm
木版、裏手彩色
《御嶽斜光(うたきしゃこう)》
2013年 186×184cm
木版、裏手彩色