コメント
「もう30年も自分の日常の身辺雑多を作品にしていますが、ぼくはこの種の作品は、やはり続けることに意味があると思っています。題名も題名ですから、それも当然のことかも知れません。
しかし、あいかわらず日常は肥大化して実際何が真実か分からないときさえよくあります。そのようなときに、たいして変わりばえのしない自分の日常の、ちょっとした真実に目を向け、それらを淡々と記してゆくことに意味がないことはないと思っています。ですからぼくは、モチーフにしてもわざわざ作品のために探したりするようなことはなく、いつもそのときたまたま出会った物や光景がかたちになっています。もちろん、それらは何らかの動機があって選ばれていますから、作品には、自分の思いや気持、あるいは感情は込めておきたいと思っています。まあ、概して深刻なものはほとんどありませんけれど......。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑1999』阿部出版より)
略歴
- 1940年
- 熊本県に生まれる
- 1965年
- 東京芸術大学大学院油絵専攻修了
- 1968年
- 東京国際版画ビエンナーレ・国際大賞
- 1971年
- サンパウロ・ビエンナーレ
- 1972年
- ヴェネチア・ビエンナーレグラフィック・インターナショナル
- 1977年
- リュブリアナ国際版画ビエンナーレ・グランプリ(87年名誉大賞)
- 1978年
- ノルウェー国際版画ビエンナーレ・グランプリ
- 1980年
- 刷られた芸術・版画20年の展望(ニューヨーク近代美術館)
- 1982年
- 近代日本の美術1945年以後(東京国立近代美術館)
- 1992年
- 個展(東京都)
- 1993年
- 山口源大賞
- 1997年
- 個展(静岡県)
- 1998年
- フォト・イメージ:60年代から90年代の版画(ボストン)
- 2003年
- 紫綬褒章受章
- 2004年
- 「ある人生の日々:野田哲也の芸術」(アジア美術館・サンフランシスコ)
- 2007年
- ロンドン・メトロポリタン大学より名誉博士号を受ける
- 2010年
- 文化庁文化交流使として木版画指導を行う(イスラエル、イギリス)
- 2012年
- 「野田哲也」展(和歌山県立近代美術館)
- 2014年
- 大英博物館日本ギャラリーで個展開催
作品紹介
《Diary : May 25th ʼ12, in Shanghai》
2012年 48.5×80cm
木版、シルクスクリーン