コメント
「無駄のない限られたスペースにイメージが現れる。無駄なモノのない画面......。虚飾の氾濫する巨大なプールから出ると、そこには視覚を超えた脳裏の奥から、ある記憶が、かそけくやがて強く表出する静かな時が訪れる。強引な思い込みという自信で画面を生み出した若い日々はほろ苦く微笑み、時間の推積はいくつもの根元的新芽を育んだ。
理想なるもの......永遠なるもの......自然なるもの......根元的なるもの......<モノクロームの小宇宙>......美しい世界だ。繁雑な色彩に遊びくたびれた視覚は、弱々しくも真に強い精神を追いかけてモノトーンの情景の中に我を取り戻す......やがて辿りつきたい具現化された精神......その姿は単純かつ毅然とした美しい小宇宙の格なのだ。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2001』阿部出版より)
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