コメント
「この作品(編集部注 『版画年鑑1999』掲載の「NEGATIVE II-8B」)は、もともと版画ではなく、銅板に直接線を引いたり、点を打ったりして制作した銅板ドローイングであり、ある立体作品の一部分である。銅板を焼なましして、制作に関して、手の作業を受け取りやすくしてある。私の版画作品の中にはこのような柔かい銅板を使ったものが多い。 15種類の作品を2枚づつ刷っているが、この場合、第1回目の刷りと第2回目の刷りはかなりの違いがある。それは板の凹凸が最初と2回目に違いが生じていることによる。それ以後は凹凸の残った銅板は一応固定するので、ほとんど変化のない刷りができるようである。銅板のドローイングとそれを紙に刷りとった絵の間には、どちらにも傾かない表裏の関係が生れることになるのだが、全体では一体のものとして考えられることでも、細部においては、不安定で、ゆれうごいているような存在となって、このことが私を引きつける。」(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑1999』阿部出版より)
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