コメント
「目が覚めたら、やわらかな光の中にいた。ぼんやりとしてよく見えないけれど、そばに誰かいて『かぽん・かぽん』と何かを話していた。そのうち白い大きな手が近づいてきて、私は安心して眠ってしまった。
私はだんだん成長した。自分が何者かよく分からなかった。人間の形をした別の何かだと思い、世界を眺め続けた。いろんなものをみた。よく笑った。ぼんやりした。美しい風景の中で泣いたりした。そして知らぬ間に大人といわれる年齢になり、私はそろそろ裸足で地面を踏みしめて、泣きながらでも歩こうと立ちあがった。
そしたら絵を描いて、詩を書いて、木版画を制作している人間の形をした生き物になった。その生き物に私は『風鈴丸』と名付けました。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2000』阿部出版より)
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