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デルヴォーの版画が、もともとは普及版として描かれたものであれ、油彩とは異なる表現主義的な特徴を持つものであれ、デルヴォー独特の世界観は健在である。夜空には満月が輝き、廃墟となったギリシャ神殿や建物のないドアを照らし出している。この不思議な静寂に満ちた世界に路面電車や機関車が走り、同じような顔をした裸の女性や、花飾りの帽子を被った女性がさまよっている。(中略)彼女たちはこの不思議な世界の中でデルヴォーが目覚めながら見る夢を、いつまでも演じ続けているのである。
(版画芸術173号 ポール・デルヴォーと版画(高瀬晴之)より抜粋)
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