コメント
「かれこれ30数年も前の夏の終りごろ、わたしは四国の高松市に行った。そのときある書店に立ちより、何げなく手にした新書版の本が『草木塔』という句集で、著者は種田山頭火という放浪の禅僧で俳人ということがわかった。『草木塔』を読みおえたとき、晩夏の暑い日中なのに、背筋が寒くなるほどの感動を覚えた。わたしの貧弱な文字の知識、俳句観から、とび離れた世界を発見したのだ。 さらに、後日購入したのだが、山頭火全集を読み通して、わたしは、このことばは絵になると確信した。わたしを感激させたことば(俳句)を2、3句あげよう。 『生死の中の雪ふりしきる』/『うしろ姿のしぐれてゆくか』/『ここにおちつき草萌ゆる』等々であるが、わたしは30年余り、山頭火の俳句空間と格闘苦戦中である。されど愉しき哉。 合掌」(作家コメント「わたしの版画空間」『版画年鑑2000』阿部出版より)
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