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「人が何かを伝えようとするとき、そこには言葉がある。そこに何が伝わったかという手応えは、とても不確かで、いつも焦燥感が漂う。私は他ではなく私であり、他は私でなく他である。 放った言葉の後に響き返る言葉もあれば、10数年を経て返せる言葉もある。所詮100%伝えることができなくても、他に伝わったことに気付くことがある。それはいつでも色々な<かたち>となって表れるからだ。そしてそれはいつも言葉の遥か向こう側にある。その言葉の向こう側にあるであろう<かたち>のひとつとして、またそれを体感したいがために、僕もまたそれを探し求めている。他に対してのひとつの応答の<かたち>として。 僕は<かたち>を与えることに携わって、他に対しての応答をしている。それはもしかしたら言葉の限界や疑念を、ある意味で知っているからかも知れない。また言葉を探し求めた先に表れる<かたち>に、ある種の尊敬と畏怖を知ってしまったからかもしれない。」(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑1999』阿部出版より)
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