コメント
「花の<姿>を描きたいと思う。
表現としての何物かは、すでに花が持っている。花の<姿>を選ぶこと、あるいは見出すことから作業が始まる。
彫りと摺りは技術の問題でもあるが、摺りはより密接に表現とつながっている。描くことも含めて、手仕事の成熟が表現の成熟への確かな道筋であるように思う。
花や葉の下にある墨ボカシは、日本画における隈取りである。色面や色のボカシも陰影ではなく、濃淡の表現である。折枝画的構図も、重なりや構造による空間表現も、多視点による細部へのこだわりも、やまと絵から浮世絵版画へと続く古典の豊かな世界の遺産である。
画面に意味や、観念や、思想を持ち込む必要はない。
ただそこにある花を描きたいと思うだけである。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2000』阿部出版より)
略歴
- 1956年
- 千葉県に生まれる
- 1981年
- 東京芸術大学絵画科油画専攻卒業
- 1991-99年
- 版画交流展(アメリカ、ベルギー、韓国、カナダ、タイ、ロシア、台湾)
- 1992年
- 個展(ギャラリー砂翁・日本橋)、CWAJ現代版画展(東京アメリカンクラブ、95-99年も)
- 1994年
- 個展(養清堂ギャラリー・銀座、ギャラリー銀鈴社・千葉)
- 1996-99年
- 個展・二人展(エヌアート・日本橋、三越・新宿、三越・日本橋、ギャラリーぬ利彦・京橋、イセザキモールコイチ・横浜、玉英画廊・川崎、ギャラリー愚怜・本郷、京王百貨店・聖蹟桜ヶ丘、アートギャラリーミューズ・前橋、玉英画廊・銀座)
- 1998年
- 日本現代版画展「40+1の生きている顔」(ロシア)、国際扇面展(日本、ロシア、ベルギー)
- 2000年
- 個展(ロシア、台湾、日本)
- 2001年
- 第46回CWAJ現代版画展(東京アメリカンクラブ・神谷町)
作品紹介
《Cherry-4/桜-4》
1999年 24.5×36cm
木版