コメント
「紙と触れあっているうちに、また木版画で何かできそうな気がしてきたんです。ペーパーワークの仕事を経て、版画の技法についての捉え方が少し変わったというか、それまでのように<紙の上に摺る>というのではなく、<紙と同化させるように摺る>ということを意識するようになりましたね。かつて本誌に『木版技法とその世界考』という連載記事を書かせてもらいましたが、木版の起源を探るそうした勉強をしているうちに、固定化した技法にとらわれなくなったのかも知れません。 だからドーサもひかず、絵具がにじむのもかまわず、素材(紙)と色料(絵具)が直接出合う場として、版画の原初的な姿を意図的に見せているんです。」
(『版画藝術』第93号より、一部修正)
略歴
- 1937年
- 満州大連市に生まれる
- 1962年
- 京都工芸繊維大学意匠工芸学科卒業
- 1970年
- 第7回東京国際版画ビエンナーレ・文部大臣賞
- 1972年
- 第1回フィレンツェ国際版画ビエンナーレ・金賞
- 1981年
- 第3回ソウル国際版画ビエンナーレ・大賞
- 1982年
- 第6回ノルウエー国際版画ビエンナーレ・審査委員賞
- 1983年
- 第1回山口源大賞展・大賞、第2回バルナ国際版画ビエンナーレ・一席、現代の巨匠・世界版画賞展・世界版画賞
- 1989年
- 第1回バラトババン国際版画ビエンナーレ・特別賞
- 1990年
- 第11回バンスカ国際木版画ビエンナーレ(スロバキア)・名誉賞
- 1993年
- 第2回日本・紙アカデミー賞・受賞、第1回エジプト国際版画トリエンナーレ(カイロ)・トリエンナーレ賞、マーストリヒト国際版画ビエンナーレ(オランダ)
- 1994年
- エジプト国際版画トリエンナーレ・受賞
- 1995年
- リュブリアナ国際版画トリエンナーレ・受賞
- 1997年
- ポートランド美術館国際版画展(オレゴン)・買上賞
- 2001年
- 第46回CWAJ現代版画展(東京アメリカンクラブ・神谷町)
作品紹介
《三叉の矛(ガイア・シリーズ)》
1995年 60×90cm
木版