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「今私は戸倉という山に囲まれた小さな村に来ています。いつもは小説を傍らに置き、詩を詠うように木を刻んでいくのですが、敢えて相棒は連れて行かず、自然の中の孤独を楽しむことにしました。 まず見つけたものは、植物たちとの対話です。生きる情熱を誇示して見せつける花の後ろに、人生を燃やし尽くした者がひっそりと身体を横たえていました。私はそっと連れて帰り、版のうえに手厚く葬り、紙の中でその小さな歌声を聞きました。ある時は山から吹き降りる風と、河原でそれを待ち伏せする空気の対峙を見物し、手の動くままに刀を走らせました。 今日も私は自然の中で出会いを求めて彷徨っています。」(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2001』阿部出版より)
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