コメント
「版画というと、きちんとした版がベースにないと安心できない奇妙な呪縛があります。しかし、最初に銅版画をつくったときの感動は、銅という物質からたちのぼってくる感触と、予想もできなかった不確定なイメージとの悪夢みたいな戦いだったことを思い出します。版を型という形式に置き換えて、切り抜かれたかたちの図と地のレトリックを、火でフエルトに刻印するヒートグラフは、不安定なゆりかごにゆられている現代の文明の正と負の光景を、いつも新鮮に私のなかのに呼びもどしてくれます。」
(『版画年鑑1999』に掲載の「わたしのかたち」をテーマした作家自身によるコメント)
略歴
- 1941年
- 東京都生まれ
- 1968年
- 早稲田大学大学院修士課程修了
- 1970年
- シェル美術賞展・佳作賞
- 1974年
- 第2回国際グラフィック展・買上賞
- 1978年
- 第2回日本現代版画大賞展・大賞
- 1979年
- 第8回グレンヘン国際色彩版画トリエンナーレ・最高賞(第11回も)、第4回バルパライソ国際美術展・版画ドローイング部門大賞(第6から9回まで毎回)
- 1982年
- 文化庁芸術家在外研修員(ニューヨーク、スペイン)、87年現代の版画 '87(渋谷区立松濤美術館)
- 1989年
- 第18回リュブリアナ国際版画ビエンナーレ・招待出品、優秀美術作品として文化庁買上。90年第7回ソウル国際版画ビエンナーレ・招待出品
- 1993年
- 第1回エジプト国際版画トリエンナーレ招待出品
- 1999年
- 現代日本絵画の展望展(東京ステーションギャラリー)
作品紹介
《負の景X》
1996年 95×135cm
ヒートグラフ、エッチング、白フェルト