コメント
実体に触れることで生まれる関係の経験は、私たちの感覚の記憶に静かに蓄積され、認識や時間の捉え方に影響を与えているのではないかと考えています。(中略)日常のなかで通り過ぎていく風景や出来事──動作、言葉、匂いといった断片は、触覚的な記憶として身体に刻まれていきます。それらの痕跡を手がかりに、「私たちはどこから来て、どこへ向かうのか」という問いに立ち返りながら、イメージの生成について考えています。(中略)こぼれ落ちてしまいそうな経験の断片を集め、通り過ぎた風景のなかにその痕跡を見出す行為は、記憶を編み直すプロセスでもあります。本作では、それらをコラージュ的な方法で可視化しています。制作では、木版によるイメージの転写を基盤とし、雁皮紙に摺り取られた像や、和紙の繊維を通して滲み出る版の痕跡を扱っています。版という媒体がもつ「転写」「反復」「ずれ」といった性質を手がかりに、イメージと記憶の関係を探っています。
(作家コメント 個展「メモをとる私ときみと。#2」会場資料より)
略歴
- 1973年
- 東京都に生まれる
- 1999年
- 多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻修了
- 日本版画協会展・奨励賞(02年準会員佳作賞)
- 2000年
- プリンツ21版画グランプリ展・特選
- 2001年
- 池田満寿夫記念芸術賞展・大賞
- 2004年
- ふくみつ棟方記念版画大賞展・奨励賞
- シェル美術賞・審査員賞
- ispa JAPAN木版画100年展(名古屋市美術館・愛知)
- 2005年
- 現代版画の潮流展(町田市立国際版画美術館・東京/松本市美術館・長野)
- MINI PRINT EXHIBITION SS & AG・スポンサー賞(ニューヨーク)
- 2007年
- 文化庁新芸術家国内研修員として櫃田伸也に師事
- The Daiwa Anglo-Japanese Foundationを受けイギリス、ドイツで研修
- 2009年
- 熊谷守一大賞展・大賞
- 2013年
- アーティストブックの制作を始め、IMPACT8: International Printmaking Conferenceにアーティストブック「KAORI」出品(イギリス)
- 2017年
- アワガミ国際ミニプリント展2017・準大賞
- 2019年
- HYATT Place Tokyo Bay客室作品制作他、店舗、ブランドとの共同の仕事も行う
- 2024年
- 10th Artist's Book Triennial Vilnius 2024に参加(2026年までリトアニア、ドイツ、イギリス、スペイン、ノルウェーの美術館、大学、国立図書館を巡回)
作品紹介
《About a map of cottage ‐orange striped‐》
2025年 31×31cm
木版(油性凹版、水性凸版)
《About a map of cottage ‐pink striped‐》
2026年 33×24.2cm
ミクストメディア(アクリル、顔料、版画)
《Garden M beautiful walk》
2019年 35×16cm
アーティストブック(ドローイング、木版[油性凹版、水性凸版]、デジタルプリント)