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ちょうど人間の瞬間が二度と戻らないように、同じ作品は二度とできません。水墨をしていると「もののあわれ」というものを感じます。昨日の私は戻らない、毎日毎日違う、ということを考えます。それが誘いとなって、次は次はと際限がないことになります。墨を擦るという孤独な時間の中では、そんな妄想のようなものに耽ることがありますね。硯に向かって墨を擦るというのは、自分自身との対話のようなものでしょうか。
(版画芸術95号「アトリエの画家たち」より)
略歴
- 1913年
- 大連に生まれる
- 1919年
- この頃、書き初めで初めて筆と墨に触れる
- 1953年
- 「日本の建築と書」展(ニューヨーク近代美術館、以後アメリカ各地巡回)
- 1956年
- 渡米、ニューヨーク滞在(58年帰国)
- 1960年
- 刷師アーサー・フローリーの勧めでリトグラフの制作を始める
- 1974年
- 増上寺大本堂、ロビーのために壁画を、道場のために襖絵を制作
- 1992年
- 回顧展「篠田桃紅 時のかたち」(岐阜県美術館)
- 1993年
- 版画集出版記念「篠田桃紅展」(銀座三越)
- 2003年
- 個展「篠田桃紅 朱よ」(原美術館)
- 2013年
- 「50Prints and Paintings, Toko Shinoda at 100」(ポートランドジャパニーズガーデン・アメリカ)、「百の記念 篠田桃紅の墨象」展(菊地寛実 智美術館)
作品紹介
《Saga(3枚組)》
1982年 各70×51.5cm
リトグラフ、手彩色
《Katachi》
1980年 36×26.5cm
リトグラフ、手彩・書
《Yuki》
2007年 38×28cm
リトグラフ、手彩・書