コメント
「造型上のポエジーが、醸し出るのは、時々の生活環境にも関係する場合もある。 戦後の騒然とした社会相の時代に巻き込まれそうになった私は、虚脱感の身を客観視すべく、伊勢、奈良、京都を何度か訪れた。深韻とした巨木に添ったり、寺の池の水音、西芳寺や桂離宮の肩を張らない佇まいに、いつしか私の中に蘇る色と<カタチ>のハーモニーが現れ出てきた。そんな感動の作品が、いつしかカリフォルニアの人々と繋がった。太平洋を挟んだ彼の地に行ってみたら、公私の建築物にたくさん日本庭園を模した造園があって、地下から噴き上げる水ではなく、底に向って流れゆく滝と自然石の造型に驚いたものだった。異質の文化を求める情感は共通していることだが、私の作品のポエジーがこうしてアメリカ人と繋がった。」(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑1999』阿部出版より)
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