コメント
「<山>は、描き始める前に既に頭の中にくっきりと紡錘形の建造物のように存在したり、陽炎のようにゆらゆらと見えていたりします。ところがそれが実際版に描いていくうちに<描く>という手作業の中でだんだんと違ったものになっていきます。自分と<山>との関係が何なのか、どんな意味があるのかを解き明かすための手掛りとして<描く>という行為を大切に考えています。リトグラフを中心に制作しているのも、<描く>という直接的な方法に最も近いと思うからです。
最初にイメージで描き始めた頃は<山>そのものよりもそれ以外の部分が重要だと考えていましたが、最近では<山>自体がどうあるのかについて興味を持っています。<山>は具体的で、具象的な絵として現れますが、私が本当に求めているのはもっと抽象的な絵画としての形かもしれません。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2000』阿部出版より)
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