コメント
「秋も終り、刈り取りが済んだ田んぼに、はざがけされた稲穂の列がきれいに並ぶ。絵描きのつもりでイーゼルを立て、M10号キャンバスに油彩でスケッチする。まるで印象派の画家かなにかのようだなと自分で思いながら。30年程前、画家に憧れていた頃の話です。今は木版画技法を使って制作しています。よく木版画家といわれるのですが、私は画家であるとうたがっていません。制作には自由が不可欠ですが、その機が熟していないのにもかかわらず、形に押し込んで絵をつくってしまうやり方になじめません。内容も表現もその時々でまるで違う。そんなふうにやってきました。絵を描ける。そのことに喜びを失うことなくいられる。それがなにより大切であると思っています。そして、いつも眼で考える制作でありたいと願っています。 1999年10月13日」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2000』阿部出版より)
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