コメント
「何かが見えてくる......手稲山(タンネウエンシリという美しい響きのアイヌ語名がある)に1年に100回も登ったという早川禎治氏の『手稲山紀行―傷ついた自然の側から―』を読んだ。著者や私たちにとっては裏山の様な山ではあるが、四季折々登り口を変え綴られたなかから手稲山の<今>が見えてくる。そして山を透して原始の時代から我々の生きている現在までもが見えてくるのだ。私はとても勇気づけられた。たぶん彼が手稲山に登るのと同じように、私は日々の記録の様に何かを紡ぎだす行為を続けている。自分と向き合っている時間の集積の中から何かかたちとなって見えてくるものは、決してこの世の中に在るものではないのだけれど、まるであったかのようにリアリティーを持ち、その質感に私は触れてみたくなる。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2001』阿部出版より)
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