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どれほどの時が過ぎたのだろう。水に捉えられ、水を巡り、触れ、感受することにより、作品を構想し始めてから。さまざまな場所を訪れ、水を眺めていると、そこにはいつも風が吹いていた。そして今、水と風がどのように私を影響していくかを静かに見つめ続ける。
時間は何処でも同様に流れるが、水の、風の創り出す光景は私を一瞬夢の世界へと誘う。そこ、つまり表現の場では自己が自己を超越させるという奇跡がおこり、作品を表出させる。
銅版画に出合ってから、私が捉えられた「水と風」は銅版の上でその夢を像化していくが、今までの閉塞した関係で成立したかたちでは銅板上に像は結ぶことはない。なぜならばそれでは<かたち>が溶け出してしまうから。あたかも「水と風」のように。
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2001』阿部出版より)
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