原 陽子(はら ようこ)HARA Yoko
作家名

原 陽子(はら ようこ)HARA Yoko

ジャンル
モダン  抽象  銅版  

コメント

 「昔、石版工が出てくる小説を読んだことがある。主人公である彼は職人気質でいつも自分の両手の中で人生を考えている。自分の掌より外側を見ることはない。ただ一度、自分に対する卑屈な自信から犯罪を犯すはめになり、陰惨に破綻していく。容疑者となった彼を追いつめたのは被害者が持っていた石版石であった、というところがその話の主なプロットであった。消去したはずの石版石の欠片に彼の手になるイメージが製版されており、そこから足がつくというのである。
 つい最近になってその小説を読みかえした。偶然にも私は現在版画をつくっている。消去しても残りつづけるイメージ、昔読んだ本のおぼろげな記憶。消しても残りつづけたものが彼の<痕跡>となったように、それらの断片があいまいな形を画面に残していく。そんなものが私の<かたち>になっているのかもしれない。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2000』阿部出版より)

略歴

1969年
埼玉県に生まれる
1996年
武蔵野美術大学大学院修了、アーティスト・イン・レジデンス招聘(あきる野)、第64回日本版画協会展・山口源新人賞、ソウル国際版画ビエンナーレ(94年も)、個展(柳沢画廊・浦和、98年も、養清堂画廊・銀座、98年も)
1997年
個展(ギャラリーゆう・岐阜、98、99年も)
1998年
第4回さっぽろ国際版画ビエンナーレ、Space-現代日本版画展(ティコティン日本美術館・イスラエル)、個展(加藤京文堂・大阪)
1999年
21世紀の版画家たち展(シロタ画廊・銀座)、Lines of sight(武蔵野美術大学・アルバータ大学版画交換展)、個展(無伴奏・松本、羊画廊・新潟)

作品紹介

《数えるべき羊の色は白なのか黒なのか》

《数えるべき羊の色は白なのか黒なのか》

1998年 40×35cm

エッチングアクアチント

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