コメント
「私は20世紀末の日本という点に立っている。
過去1000年以上画家たちは連綿と花を描いてきた。私に向かって線が引かれる――x軸。
花は様々な役割を果たすモチーフである。だが多くの人は、誰に教わることもなく花に人の心を見る。歴史という直線は、人の心を得て広大な面として立ち上がる。――y軸。
人の心は、文字でも音楽でも語られ続けている。あるいは花は、洋の東西で描かれ続けてきた。様々なz軸の可能性。めくるめく多次元の空間が生まれ、オーロラのように輝く。
20世紀が私たちにもたらした悲惨、個という牢獄、進歩という錯覚。恩恵は唯一、古今東西を自由に交流できる手段だろうか。
めくるめく多次元の空間で、私は(酒井)抱一になり、シューベルトと紫式部といっしょに花をながめる。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2000』阿部出版より)
略歴
- 1955年
- 東京に生まれる
- 1979年
- 筑波大学大学院修士課程修了
- 1989-90年
- 文化庁在外研修員(アメリカ、ベルギー)
- 1985年
- 中華民国国際版画ビエンナーレ(台北)・文部大臣賞
- 1986年
- CWAJ現代版画展(以後毎年)
- 1987-91年
- 国際小版画展・98年第1席、90年佳作(ニューヨーク)
- 1989年
- 個展(シートンホール大学ギャラリー・ニュージャージー)
- 1990年
- 個展(グルニエ画廊・ベルギー)
- 1991年
- 個展(ウエストルームギャラリー・ニューヨーク)
- 1994年
- 個展、シャマリエール国際版画トリエンナーレ(招待、フランス)
- 1995年
- カステル・ディ・サングロ(ボローニャ、イタリア)
- 1997年
- ワークショップ(国立台湾芸術学院・台北)
- 1999年
- ワークショップ(マゼレールセンター・ベルギー)
- 2000年
- 中日交流版画展(台湾)
- 2001年
- 個展(東京都)、第46回CWAJ現代版画展(東京アメリカンクラブ・神保町)
作品紹介
《Tiger illy-96 》
1996年 45×60cm
アクアチント