コメント
「息苦しい都会の道を歩きながらふと見上げると、そびえ立つ高層ビルの群れに目が眩んだ。ああ、人間は何てすごい物を造るんだろう。
底のない絶望に苦しみながらふと見上げると、見たこともない青く高い空に心が震えた。ああ、世界は何て美しいんだろう。
凍えた山を登りながらふと見上げると、化石のような氷の壁に圧倒された。ああ、自然は何て雄大で、人間は何てちっぽけな生き物だろう。
一瞬一瞬の感動が、生きる力を与えてくれる。
先の見えない苦しみ、悲しみ、絶望の闇の中でさえ、命の力は消えることなくその火を燃やしつづける。
それは何よりも力強く、そして何よりも尊い。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2001』阿部出版より)
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