コメント
「銅版エングレーヴィングの醍醐味は、刀(ビュラン)と銅板の拮抗感にあります。精神を集中させ、明確な意識と強い意志を持って、自分の求めるありとあらゆる線と点を掘り進めて行く作業は、苦行僧のようですが、忍耐強く制作を続けていると、ある瞬間時間が止まり至福の波が打ち寄せて来ることがあります。これが実にいいのです。そして、彫版された時間の集積が紙の上に立ち現われたとき、この限りなく平面に近いレリーフは、正しく彫刻銅版画であると実感します。闇をしつらえた木口木版に光を彫り当てる作業は、何百年と生きた木の温もりと厳しさを感じながら制作するのですが、銅版も木口も指先に常に材質感を伴う喜びを楽しみながら制作しています。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑1999』阿部出版より)
略歴
- 1956年
- 佐賀県に生まれる
- 1980年
- 東京造形大学造形学部絵画科版画専攻卒業
- 1982年
- 東京藝術大学大学院美術研究科版画専攻修士課程修了
- 東京藝術大学大学院修了制作展 首席・買上賞3点
- 第50回日本版画協会展・準会員賞
- 1985年
- 第16回版画グランプリ展・賞候補一席
- 1998年
- 文化庁芸術家在外研修員としてウィーン国立芸術大学で研修(~1999年)
- 2000年
- 第63回英国木口木版画協会展・海外部門最優秀賞(オックスフォード他、イギリス)
- 2002年
- 第5回高知国際版画トリエンナーレ展・土佐和紙賞
- 2020年
- 「版と表現 木口木版画の世界」展(岩崎ミュージアム・神奈川)
- 「共鳴する刻 木口木版画の現在地」(CCGA現代グラフィックセンター・福島)
- 2024年
- 個展「幻想の螺旋」 (ギャラリー枝香庵・Flat・銀座)
作品紹介
《A complete unknown ocean(知らない海洋)》
1985年 30.5×60cm
木口木版