コメント
この技法は考えただけでも根気のいる、面倒な作業を必要とするので本当はやりたくなかったのです。事実何回も中断し、もうやめようと思いました。ただこのスティップルエングレーヴィングだけで版画を作るということは版画史上私が最初ということになります。カンパニョーラもビュランの線と併用しています。銅版画で他の人がまだやっていない新しい技法はこのスティップルエングレーヴィングしかないという思いと長谷川潔がメゾチントという忘れられた複製の技術を自分のオリジナルの絵に利用し復活させ、見事に現代にメゾチントを甦らせたという先例にならい、ルネッサンスの技法であるこのスティップルエングレーヴィングを私が再生してみようと決心しました。
(版画芸術59号「スティップルエングレーヴィングによる銅版画」より 作家コメント一部抜粋)
略歴
- 1943年
- 旧満州国奉天市に生まれる
- 1963年
- 早稲田高等学校卒業
- 1965年
- 第39回国展入選
- 1966年
- 立教大学経済学部卒業。サパンヌ美術クラブに所属
- 1968年
- 個展(シロタ画廊・銀座 71年も)
- 1972年
- 第40回版画協会展・版画協会賞、第3回版画グランプリ展
- 1973年
- 渡仏
- 1974年
- 第1回ツール市国際展、リヨン現代日本絵画展(フランス)
- 1975年
- 個展(ガレリア・グラフィカ・銀座 81、83、86、90年も)
- 1976年
- オスタンド市ヨーロッパ絵画賞展・銅メダル賞(ベルギー)、ヴィトリ・スウ・セイヌ市絵画展(フランス)
- 1977年
- 国際ミニアチュール展・入選(アメリカ 81、89年も)
- 1978年
- 現代版画展(パリ国立図書館・フランス)
- 1980年
- 帰国
- 1982年
- 第2回韓国国際ミニアチュール展(韓国)
- 1984年
- 個展(羊画廊・新潟)、第1回版画日動展(以後毎年出品)
- 1985年
- 国際メゾチント・コンペティション(アメリカ)
- 1987年
- ビエラ国際版画展招待出品(イタリア)
- 1988年
- 個展(セントポールギャラリー・群馬 91年も)
- 1989年
- ブリストル国際ミニアチュール版画展(イギリス)
- 1990年
- 第3回ミヤコ版画賞展・ミヤコ賞
- 1991年
- 個展(彩林画廊・横浜、銀鈴社・千葉、Gallery 4 Cats・名古屋、都画廊・大阪)
- 1992年
- 個展(ギャラリーWIZ・東京)
- 1993年
- 49歳で逝去