コメント
十年間、ビュランを握って刻印した作品を一冊の画集として出版しました。題して『象の風景』。(中略)
われわれ現代人は生活するに忙しく、ビュランに多大な時間を注ぎ込むほどの余裕を持てなくなっていることと、なによりもビュランでなくてはならぬ必然、内的喚起の喪失感とが相まって"作業"に意味を見い出しにくくなっているのです。ですから、かなりの意欲と覚悟をもってしか、その現代というクレバスを超えることができません。
そんなビュラン作業に支配され続けてきた僕は、今、そこからの逃走と、態勢の立て直しを迫られ、その意味での画集発刊でもありました。(中略)
"象"とは、人の中に棲む太古の記憶、大地の襞、空の呼吸、その轟きが人の観念の前に風景としてふと立ち上がるもの――です。
(版画芸術66号「現代とビュラン」より作家コメント一部抜粋)
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